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中国・徐州 反日感情ぶつけられ

2017年08月10日

 爆発事件が起きた中国江蘇省徐州の幼稚園前で、やじ馬の住民に話を聞いていたところ、後ろにいた30歳ぐらいの女性が「日本人は歓迎しない」と唐突に口をはさんできた。

 徐州は1938年、日中の激しい戦闘の結果、日本が占領した場所である。祖父母から記憶が受け継がれているのだろう。

 「日本人は悪い人だ」とも言う。「悪い人もいれば、いい人もいます。中国人だって同じでしょう」と言い返して、はっと気づいた。周りにいる10人以上の人たちが、刺すような視線で私を見つめている。正直なところ身の危険を感じた。

 近くにいた警官たちは助けてくれそうにない。取材を切り上げ、立ち去ろうとする私に、件(くだん)の女性は「とっとと帰りなさい」と、とどめの一言を浴びせてきた。

 日ごろ中国人のマナーの悪さに接し、嫌な思いには慣れているが、自分が日本人ゆえに嫌な思いをしたことは、それまで一度もなかった。

 恨みの感情にこだわることは人を後ろ向きにさせる。かといって、話し合いで解決できるものでもないだろう。気の重い宿題を与えられた徐州行きとなった。 (浅井正智)